新型コロナウイルスの流行を皮切りに、ウイルスや菌対策の商品を購入する機会が増えました。同時に、さまざまな場所で「除菌」「滅菌」「殺菌」などの言葉を目にするようになりましたが、「それぞれの言葉の意味や違いがいまいちよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。

 

そこでこの記事では、上記3つの違いについて解説してきます。合わせて目にすることが多い「抗菌」と「消毒」についても解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

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除菌・滅菌・殺菌の違い

まずは「除菌」と「滅菌」、「殺菌」の違いについて紹介していきます。

除菌

除菌は、「物や空間に存在するウイルスや菌の数を減らすこと」です。法律では、食品衛生法で「存在・発育し得る微生物を除去すること」と規定されているほか、洗剤・石けん公正取引協議会では「対象物から増殖可能な細菌の数（生菌数）を減少させること」などと定義されています。対象や程度については細かく決まっておらず、商品や分野などによって様々です。

滅菌

滅菌は、「菌やウイルスを滅すること」です。つまり、物や空間に存在する菌やウイルスなどの微生物を、全て無くすことを指します。しかし、実際に微生物の数を0にするのは現実的ではないため、「微生物の生存する確率が100万分の1以下になること」と日本薬局方で定義されています。

殺菌

殺菌は、漢字通り「菌やウイルスを殺す」ことで、菌やウイルスを殺す範囲や対象物を含まない概念です。また、滅菌のように「どの程度微生物を殺せば殺菌と呼べるか」という定義もされておらず、対象空間や対象物の菌を1%殺しただけでも「殺菌した」と言えます。

 

殺菌という表現は、消毒薬や薬用石鹸などの「医薬品」と「医薬部外品」のように薬機法の対象となる製品にしか使用出来ないため、漂白剤や洗剤などでは表記できません。

「抗菌」「消毒」とは？

上記で紹介した3つと合わせて、「抗菌」と「消毒」もよく使われます。それぞれの違いや意味、定義について紹介していきます。

抗菌

抗菌は、「菌の増殖を防ぐこと」です。“ウイルスは対象に入らない”と経済産業省で定義されているため、混同しないように注意しましょう。抗菌は、菌が住みづらい、増えづらい環境作りを表す際など、予防や対策としての意味合いで使われます。そのため、「抗菌」を謳っている製品には、菌やウイルスを殺したり除去する効果はありません。

消毒

消毒は、「菌やウイルスなどの病原性微生物を減らしたり、感染力を失わせたりすることで無力化し、害を無くすこと」です。微生物を殺したり、除去したりせず、毒性を無くすだけで消毒と定義できるため、毒性が有効な微生物を減少させるための処置として用いられます。菌を殺す「殺菌」と混同されることが多いですが、殺す以外にも微生物の毒性を無くす方法は存在するため、消毒はより広義で使用されます。

製品によって使える言葉が違う

薬事法において、「殺菌」「消毒」「滅菌」という言葉は「医薬品」や「医薬部外品」では使用できるものの、これらに属さない製品では使用できません。そのためアルコールスプレーなどの「医薬品」や「医薬部外品」ではない製品は、実際には殺菌効果があるにもかかわらず「殺菌」ではなく「除菌」と記載されているものが多いです。

 

また「除菌」や「抗菌」という表現も、それぞれの定義に該当する効果がない製品に使用した場合などに景品表示法違反になるケースがあるため、効果のない製品には使用できません。

除菌・滅菌・殺菌の違いを知っておこう

ウイルス・菌対策、感染症対策でよく耳にする「除菌」「滅菌」「殺菌」の違いについて紹介しました。最も厳重なのは「滅菌」で、「除菌」は数を減らすこと、「殺菌」はひとつでもウイルス・菌を殺すことを指します。なんとなくイメージしていた意味と違ったという方もいるのではないでしょうか。「抗菌」「消毒」の意味もあわせてしっかり押さえて、正しくウイルス・菌対策をしていきましょう。