レジオネラ菌（Legionella）は、水の中に広く存在する細菌の一種であり、感染するとレジオネラ症という疾患を引き起こします。レジオネラ症は、レジオネラ属菌という細菌が原因で起こる感染症です。これまで、入浴施設で感染した例がたびたび報告されており、中には死亡例もあります。
症状のタイプは2種類あり、それぞれ、「レジオネラ肺炎」と「ポンティアック熱」と呼んでいます。ポンティアック熱は発熱や頭痛、筋肉痛などの症状で、一般的に軽症ですが、問題になるのは「レジオネラ肺炎」です。高熱や呼吸困難、吐き気、意識障害などが出て、急激に重症になり死亡することもあります。
最近では、宮城県内の病院を利用した患者6人がレジオネラ症に感染しました。患者は40代から90代で、このうち80代の男性患者から死亡後にレジオネラ属菌が検出されました。40代の女性患者は重症で、現在も入院中とのことです。保健所が病院の調査を行ったところ、空調設備の一部からレジオネラ属菌が検出されたということで、3人の患者から同じ種類の菌が検出されていて、関連を調べています。
なおレジオネラ症は、幼児や高齢者、および基礎疾患を抱えている人など、抵抗力の弱い人に感染しやすいので注意が必要です。

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感染経路

レジオネラ菌の感染経路は、主に以下の２つです。

水源からの感染

レジオネラ菌は自然界に存在し、淡水や土壌中に発見されることがあります。レジオネラ菌は、消毒されていない水や入れ替わりの少ない水、また水温 20℃から50℃前後の水に混入した時に増殖するおそれがあると言われています。特に給水・給湯設備、冷却塔水、循環式浴槽などでレジオネラ属菌が見つかっています。

空調設備からの感染

2023年7月に発生した宮城県の病院における集団感染の感染源も空調機器と言われていますが、主に温水タンク、空調システム、シャワーヘッド、加湿器などが挙げられます。感染は、レジオネラ菌を含む小さな水滴（エアロゾル）を吸い込むことによって発生します。空調設備はレジオネラ菌のほかにカビ菌も発生しやすく、衛生面において注意が必要です。

 

感染後の症状と潜伏期間

レジオネラ症には劇症型のレジオネラ肺炎と一過性のポンティアック熱の2つの型があります。

レジオネラ肺炎

症状：発熱、咳、痰、呼吸困難とともに、頭痛、筋肉痛、下痢、意識障害、精神神経系症状などの呼吸器以外の症状もみられます。また、重症となった場合、死亡例も報告されています。　　
潜伏期間：2から10日（平均4から5日）

ポンティアック熱

症状：発熱、咳、頭痛、筋肉痛がみられます。呼吸器症状は軽微です。 　　
潜伏期間：1から2日（平均38時間）

 

家庭内における予防

レジオネラ症は、レジオネラ菌に汚染された目に見えないほど細かい水滴（エアロゾル）を吸い込むことで感染します。人から人への感染はありません。
レジオネラ菌は自然界に広く存在しており、私たちの周辺から完全に取り除くことは困難です。レジオネラ症を予防するためには、感染源でのレジオネラ菌の増殖を防ぐことが重要です。家庭では風呂（ジェットバスなど）、加湿器などでエアロゾルが発生するため、以下のことに注意しましょう。

浴室

家庭のお風呂では、毎日お湯を入れ換えている場合は問題ありませんが、お湯を循環ろ過して長期間使用する、いわゆる24時間風呂の場合はレジオネラ属菌が増殖する可能性があります。お風呂のお湯は適宜取り換え、浴槽の清掃を行うなど清潔に保ちましょう。さらに、浴槽水のシャワーへの使用や、気泡ジェットなどのエアロゾルを発生する器具の使用も避けましょう。また、浴槽に入る前には、体の汚れを落としてから入るようにしましょう。

加湿器

加湿器の水を溜めておくタンクの管理が悪いとレジオネラ属菌が増殖することがあります。水はこまめに取り換え、使用する水も水道水など衛生的な水を使用しましょう。
また定期的にノズルの清掃やタンクの洗浄を行い、加湿器を使用しない期間は水を抜いてきれいにしておきましょう。

なお本ホームページに記載されている「プレミアムジア／加湿器カビ除菌リキッド」を水道水で希釈してタンクに充填することにより、タンク内を除菌し、さらに噴霧するミストにより空間内の消臭、および浮遊する菌やウイルスを不活化することができます。

 

 

レジオネラ症は適切な抗菌薬を使用することで治療できます。有効な処置がなされない場合には、重症化することもあるので、早めに医師の治療を受けましょう。