手指やモノの除菌には、何を使用していますか？除菌といえば「アルコール除菌」を思いつく方が多く、実際にアルコールスプレーやジェルを使用している方も多いのではないでしょうか。しかしアルコールは全ての菌・ウイルスに有効な訳ではありません。そこでこの記事では、アルコール除菌が効かない菌・ウイルスについて紹介していきます。また、アルコールの代わりにおすすめの除菌アイテムも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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アルコールの除菌メカニズム

アルコールにより除菌の仕組みは、菌やウイルスの表面にある「膜」を破壊することで死滅または無害化させるというものです。アルコールによってダメージを受けやすい脂質性の膜を持つウイルスは「エンベロープウイルス」と呼ばれています。加えてアルコールには、菌やウイルスが持つタンパク質構造を変性させる作用や、脱脂・脱水作用があり、これらの作用も菌・ウイルスを死滅させる理由となっています。

 

＜アルコール除菌が効きやすい菌・ウイルスの一例＞

• 菌：黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、病原性大腸菌など
• ウイルス：コロナウイルス、インフルエンザウイルスなど（エンベロープウイルス）

アルコール除菌が効かない菌・ウイルス

膜を持つ「エンベロープウイルス」に対して、膜を持たないウイルスを「ノンエンベロープウイルス」と呼びます。ノンエンベロープウイルスは表面に硬い殻があるため、アルコール除菌が効きにくいのです。ここでは代表的なノンエンベロープウイルスを3つ紹介します。

ノロウイルス

ノロウイルスは感染すると急性胃腸炎を引き起こすウイルスで、食中毒の原因となるウイルスのひとつ。人の腸管内でのみ増殖しますが、感染力が非常に強いのが特徴で、ごく少量のウイルスでも感染し発症します。ノロウイルスの主な症状は、腹痛・下痢・吐き気・嘔吐など。発熱や頭痛を引き起こす場合もあります。

ロタウイルス

ロタウイルスは、乳幼児や子どもに多いのが特徴の、急性胃腸炎を引き起こすウイルスです。世界中で大半の子どもが5歳までに感染します。10個程度のウイルスでも体内に侵入すれば感染するほど、非常に感染力が高いです。主な症状は腹痛、水様性の下痢、嘔吐、軽い発熱など。再び感染することもありますが、2度目は重症にはなりません。また成人にも感染するものの、発症しない、または軽症で済むことが多いと言われています。

アデノウイルス

アデノウイルスとは、呼吸器、目、腸、泌尿器などに感染症を起こす、5歳以下の子どもがかかりやすいウイルスです。主な症状は発熱、喉の痛み、下痢、目の充血など。いくつかの型があるので、感染したウイルスの型によって以下のような多種多様な感染症を引き起こします。

 

• 咽頭結膜熱（プール熱）
• 流行性角結膜炎（はやり目）
• 呼吸器感染症
• 胃腸炎
• 出血性膀胱炎

アルコール除菌が効かない環境も

アルコールは、濡れた場所では濃度が下がるため効果が薄くなるという特徴があります。そのため、キッチン・トイレ・洗面所・お風呂などの水回りは、アルコールが効かない環境である可能性が高いです。

 

また濡れた手にアルコールをつけても、手指の除菌の効果がきちんと得られません。アルコールは一般的に70％以上の濃度で除菌作用を発揮すると言われており、除菌用アルコール製品のほとんどが70〜95％の濃度となっています。

そんな時は「次亜塩素酸ナトリウム」が有効

アルコール除菌が効かないノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスが気になる場合は、塩素系消毒剤である次亜塩素酸ナトリウムが有効です。アルコールが効く黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、コロナウイルス、インフルエンザウイルスなどの幅広い菌・ウイルスにも効果があります。

 

ただし、次亜塩素酸ナトリウムは人体への刺激が強いため、手指の消毒などには使用できません。手指への使用には、肌への刺激が比較的少ない「次亜塩素酸水」がおすすめです。

アルコール除菌が効かない菌・ウイルス・環境に注意

アルコール除菌が効かない菌やウイルスについて紹介しました。ウイルスには「エンベロープウイルス」と「ノンエンベロープウイルス」があり、後者にはアルコールの除菌作用が効きにくいです。ノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスの対策をしたい方は、次亜塩素酸ナトリウムを使用するなど適切な方法を検討してください。

 

またエンベロープウイルスに対しても、濃度が下がった状態では効かない場合があります。除菌は目に見えず効果がわかりにくいため、アルコール除菌の性質についてもう一度よく理解して正しく使用するようにしましょう。